【大家歴15年の大家さん】部屋がゴミ屋敷と化した住人
【大家歴15年の大家さん】部屋がゴミ屋敷と化した住人
部屋がゴミ屋敷と化した住人。解決のカギは管理会社からの内容証明郵便でした。31歳の男性、仕事は広告関係の会社で営業職に就いています。これからお話しをするのは、あるアパートの大家を2年している私の幼馴染から聞いたお話です。幼馴染の年齢は私と同い年で、2年前からそのアパートの大家になりました。
【50代独身男性の入居】
そんな幼馴染がトラブルに見舞われたのは、今から1年ほど前のことです。アパートの1室に、50代の独身男性が入居してきました。仕事は会社役員をしており経済的にも豊かそうな人でしたが、第一印象から少し高圧的な印象は持ったそうです。そしていざ入居をすると、それ以降は挨拶もまともにしなくなりました。幼馴染がアパートの周辺を掃除していて、ちょうどそこを通りかかったときも、何も言わずに去ってしまいます。或いは幼馴染が気を利かせて差し入れなんかを持って行くと、黙ってその袋だけを取り玄関を閉めたこともあったそうです。こうした経験を経て、大家歴の短い幼馴染はとても戸惑ったと聞きました。大家になってから出会ったそれまでの住人の皆さんは、誰も愛想が良くフレンドリーな人ばかりだったからです。同時に次第にその男性が怖くなった幼馴染は、必要最低限のときにしか関わらないようになりました。
【数カ月後異臭による苦情】
ところがその男性が入居してから数ヵ月後、アパートの住人の何人かから臭いの苦情が来るようになります。生ゴミが腐ったような刺激臭がするとのことで、とても焦ったと聞きました。本格的な苦情の対応も、この件が初めてだったからです。その後すぐに臭いの原因を調査したところ、疑わしい部屋が見つかります。それが、あの50代の男性の部屋です。極力関わらないようにしていたため気付かなかったそうなのですが、いつの間にか何やらベランダには沢山のゴミ袋が置かれており、途端に嫌な予感がしたと聞きました。
【まるで中を見せないような対応しかし悪臭が襲う】
その日の夜にインターホンを押すと、玄関の扉をほんの少しだけ開けて男性が対応したそうです。まるで中を見せないように、必死に隠すような開け方に思えます。明らかに気まずそうな、疚しいことがある人の様だったのでしょう。次の瞬間、ぶわっと全身を包むように悪臭が幼馴染を襲います。原因はもう、ここしかありません。幼馴染は勇気を出して部屋の中を見せるよう言いましたが、一向に男性は応じなかったようです。積み重なる苦情、幼馴染のストレスは相当なものでした。私もこの時期に少し相談を受けたことがあり、随分と疲れているなと思っていました。結局部屋の清掃やゴミの処分について、口頭で何度注意しても改善の兆しはなかったそうです。徐々に男性の部屋へ怒鳴り込みに行く住人も現れ、事態は切迫していました。このままでは傷害事件などが起きてもおかしくないと、それくらいの危機的状況だったのです。
【自力解決は不可能管理会社にお願い】
自力での解決は無理だと判断した幼馴染は、この後アパートの管理会社の方へ事実を伝えました。すると管理会社はすぐに対応してくれ、まずは状況の確認のためスタッフが派遣されたそうです。そのスタッフも、現場を見て呆れていたと聞きました。
【内容証明送付男も観念ゴミを捨て解決】
この3日後くらいに、男性には管理会社から内容証明郵便が送られます。ゴミと臭いの対策を一定の期日までにしないと、退去してもらうというものです。さすがに男性の方もこれで焦ったようで、それからようやくゴミを捨てるようになったそうです。気になるゴミの量は判りませんが、幼馴染と何人かの住人も必死に手伝いました。それで掃除が終わるまでに5日間、いかに大変だったかが窺えます。こうして、ゴミ屋敷の問題は無事に解決となりました。男性はこの件を機に、アパートを離れたそうです。他の住人の目も考えると、住み続けるのは困難だったのでしょう。新しい住まいでまた同じことをしていないか、私も部外者ながら心配になりました。ゴミ屋敷の問題は、非常に身近なものなのだと思います。幼馴染には災難でしたが、私もこの話を聞いて他人事ではないと感じました。大家という仕事は、本当に大変な仕事です。